八代わかば法律事務所
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相 談 事 例


 ここでは,過去に私が受けた相談のうち,多かったものを,一般的な質問に形を変えて,その答えと共にまとめてあります。プライバシー保護のために,実際に受けた相談とは異なり,あくまで一般論として皆さんに当てはまるであろう内容のみを載せています。


多重債務問題
項目 相談例 回答 備考
破産について  
 破産手続について簡単に教えて欲しい。
 
 破産手続とは,簡単に言えば,「その人が支払い不能だと裁判所に認定して貰い,結果残った負債を裁判所によって免除して貰う」という裁判所の手続です。
 浪費など不誠実な事情がある場合には,「免責不許可事由」といって,原則としては免責決定が下りない建前なのですが,大概は免責決定が下ります。免責決定が下りない可能性がある場合,個人再生の申立ても考えなければなりませんが,よほどの浪費でない限り,免責は下りると思ってください。再度の破産であっても同様です。大抵は何とかなります。
 
私の場合,破産費用は予納金込みで345,000円です。
 ご夫婦,ご兄弟,親子で破産の場合,1件当たりの単価を減額しております。
 
 破産することでどんな不利益がありますか?
 
法的な不利益は,破産手続開始決定がなされてから免責確定までの数ヶ月間,「破産者」となります。破産者となっても,弁護士や保険外交員,警備員などの,人のお金や財産を預かる仕事がその間出来なくなるだけで,それ以外はなんの制約もありません。
 事実上の不利益は,事故情報(いわゆるブラックリスト)に乗ってしまうことです。破産の場合,7年ほど破産情報が残り,再度の借り入れが難しくなってしまいます。
 しかし,個人再生をしても任意整理をしても特定調停をしても事故扱いになりますし,数ヶ月支払いが遅れればそれも事故情報となります。
 ですから,「ブラックリスト」に乗りたくないがために破産を躊躇されるのはあまり意味がありません。
 
 私が破産すると保証人には請求が行ってしまいますよね?保証人には迷惑をかけたくないのですが。
 
保証人には請求が行きます。それも多くの場合残額一括請求です。保証人は,主債務者に何かがあって払えなくなったときの文字通り「保証」のためにいるのですから,当然です。
 だからといって,保証人に迷惑が掛からないように貴方が破産を思いとどまるのは全くナンセンスです。貴方自体が破綻状態にあるのであれば,どんなに頑張って払っていてもそれは負債が増えて行っているだけなので,何の意味もありませんし,負債が増えてどうしようもなくなって突然破綻してしまえば,逆に保証人には迷惑が掛かります。ですから,貴方の金銭的な余裕がある程度あるうちに,保証人と今後のことを話し合っておく必要があります。
 具体的には,貴方が弁護士などに相談に行く際には,保証人も一緒に連れて行くことです。貴方が破産した場合,保証人も破産することになるのか,それとも任意整理を依頼することになるのか分かりませんが,出来るだけ相談は早めに行くべきです。
 
私は会社を経営しています(取締役)が,実質は自営業といっていいものです。会社は負債を抱えて事業を停止しました。私も会社の保証人になっております。
 そこで,破産をしたいのですが,会社の破産には多額の費用がかかると聞いています。
 私個人はだけでも破産は出来ないでしょうか?それとも会社も一緒に破産手続きを取らないといけないのでしょうか?

 端的に言えば,貴方の個人破産だけ手続することが出来ます。
 会社と個人の両方の破産するだけの費用がない場合,とりあえず会社の破産は置いておいて,貴方個人の破産手続を進めるべきです。
 会社が実質上破産状態で,清算手続きを取らなければならないのにそれを怠っている場合には,科料の制裁がありますが,まあ,堅いことは言わないでおきましょう。清算手続自体もそう簡単にはいきませんので,実際やり出すと大変苦労すると聞いています。ですから,どうしても今は会社の破産手続も清算手続も困難だというときには,税務署・都道府県税事務所・市町村役所に休眠の届けだけでもすればいいでしょう。仕方ない。
 なお,以前は,取締役であった人が破産した場合,取締役の欠格事由に当たり,取締役の地位がなくなっていたのですが,新設の「会社法」では,破産手続が開始されてもそのまま取締役の地位に留まることが出来るようになりました(※破産は民法上の委任契約の終了原因になります。会社と取締役は委任関係で結ばれていますので,取締役の破産で委任関係が終了します。よって,再度委任契約をする必要があります。私の考えでは,破産しても同様に取締役としての業務を行い,会社の他の者もそれを問題視していなければ黙示の委任契約が再度成立しているとみていいと思います。)
 





 


 
 休眠会社(株式会社)の清算手続については,ここを参照して下さい。
「管財事件」とか,「同時廃止」などといった言葉を聞きますが,どういった意味でしょうか?
 破産というのは,従来,正確には「破産手続」と「免責手続」という二段階に分かれていました。
 負債が大きく,破綻状態であることを裁判所が認定し,財産を債権者に分配する手続を「破産手続」,残った負債を免責(チャラ)にするかどうかの審査手続を「免責手続」といいます。現在は連動しており,一つの手続と言えるものになっていますが,実質は二段階と言っていいでしょう。
 その「破産手続」中に裁判所が管財人を選任し,その管財人が,債権調査をし,資産調査・回収をして,債権者に平等に分配することになるのが原則です。これが「管財事件」」というものです。
 しかし,破産者には資産がほとんどないことが多く,その場合にも管財人を選任して時間と費用を掛ける(管財人報酬等で50万円前後を裁判所に予納しなければならない)のは無駄なので,破産申立て時に,財産がないことがはっきりしている場合などは,例外的に,上記の債権調査・資産調査等を省略し,管財人を選任することなく,破産手続開始と同時に「破産手続」を終了させ,免責審査に移行することとなります。これが「同時廃止」事案です。大半の破産者はこっちの手続となりますので,原則と例外が逆転しています。
現在は,管財事件と同時廃止事件の中間的な手続である,「小規模管財」という運用が全国各地でなされています。その詳細は各県,同じ件でも各支部で異なりますので,裁判所に問い合わせるか,弁護士・司法書士に相談してください。
個人再生について  
個人再生について教えて欲しい
 
個人再生とは,破産手続と同じく裁判所の法的手続きですが,負債が全部免責されるわけではなく,最大1/5にまで減縮し(最低100万円以上),それを原則3年で分割支払いをするという手続です。
 
弁護士費用は,裁判所への予納金含めて50万円前後が相場だと思います。
 
 個人再生を選択するメリットは?
 
私個人の感想として言わせていただければ,個人再生は@住宅ローンがあって家を失いたくない場合
A保険外交員など,破産手続開始から免責確定までの期間その仕事が出来なくなると困る場合(破産してしまうと保険外交員は事実上もう出来なくなってしまう。)
B任意整理よりも個人再生の方が減額率が大きい場合
C浪費などがひどく,破産手続をした場合には免責不許可となってしまうことが予想される場合
などに限って,選択するメリットがあると思います。
 「どうしても破産をしたくない」十考えの方もおられますが,個人再生も,広い意味では破産の枠内にありますから,この期に及んでちっぽけなプライドにこだわらない方がいいと思います。それよりも,出来るだけ再出発時期は早いほうがいい。破産であれば免責確定から再スタートを切れますが,個人再生であれば,3年間の支払を終えてからが再スタートです。貴方の人生の立て直しのためにどちらが有利かは明らかです。
 
任意整理について  
 任意整理というのは?
 
任意整理とは,「債務整理」とも言いますが,簡単に言えば,弁護士(司法書士)が,債権者との間に入って,債務の減額や毎月の支払額を無理のない額まで減らすなどの交渉をする紛争当事者間の和解交渉です。利息の払い過ぎなどで逆に金融業者から過払い金を取り戻すこともします。
 
任意整理の弁護士費用は幾ら?

 これは弁護士によってまちまちです。
 1件○万円というように,単価計算をする場合が多いと思います。債権者の数が多くなれば,1件当たりの単価を安くする弁護士もいます。
 なお,着手金,報酬に分ける弁護士もいますし,「費用」として一本化する弁護士も居ます。多くは前払い(依頼を受けるときに支払う)で,かつ,受任時に全額を一括払するよう弁護士から求められるられるでしょう。
 。
 
 
ちなみに私の場合,1件52,500円(税込み)で,件数が多くなった場合にはある程度減額をしております。受任時一括ではなく,分割払いでもお受けしていますが,その分割払いの約束を守って貰わない場合,最悪辞任することになります。
   
 取立てについて
 
私の息子が金融業者に借金があり,返済が滞ったため,自宅まで来て私に代わりに払うよう要求したり,保証人になるよう要求しました。断ったのですが,何時間も居座られて,しかたなく保証人になりました。保証人になった以上,私もやはり払っていかなければならないのでしょうか?
 
支払義務のない者に強いて支払を要求することは,貸金業規制法21条1項4号に該当し,行政処分の対象になります。保証人になるよう執拗に要求することもこれに該当するでしょう。
 そして,肝心の保証契約については,拒否をしたのに何時間も居座られて保証契約を結ばされた,すなわち,不退去による困惑によるものですから,消費者契約法4条により,6ヶ月以内であれば取り消すことが出来ます。弁護士等に相談し,内容証明郵便などで契約取消しの文書を送付してください。そうすれば保証人として支払う必要はありません。

金融業者に対する行政処分の申立ては,県知事もしくは財務局へ。


内容証明郵便文書作成を弁護士に依頼する場合,実費の他,約5万円程度は費用がかかります。
 


土地問題
    項目            相談例                     回答                  備考    
固定資産税  もう20年前にもなりますが,私が所有していた土地を,ある人に売りました。
 ところが,その人が一向に所有権の登記を自分名義にしようとせしませんでした。
 私としては,もう土地を売って,代金ももらったものだから,「まあ,いいや。」と思って放置していました。土地の税金は役所から請求書が来るのでちゃんと払っていました。そんな感じで今まで放置していたところ,最近になっていきなり,その買主から,所有権移転登記の裁判を起こされました。
 私としては,土地を売ったのは間違いないので,別に名義を移すことには異論はないのですが,これまで20年間払ってきた土地の固定資産税をその買主に返してもらいたいです。
 この私の要求は法律上通るのでしょうか?
 結論から先に言えば,10年分に限って,固定資産税分の金銭の請求は出来ることになると思います。
  「相手方が裁判を起こしてきた」ということですが,それが,売買契約に基づく登記移転請求であるにしろ,時効取得にもとづく登記移転請求であるにしろ,どちらにしろ,あなたはその裁判自体は負けることになります。まあ,これ自体はあなたも異論がないでしょう。
 ただ,この土地は,形式的には登記名義人であるあなたが形式的には所有者であるとしても,実質的な所有者は20年前からその買主であったということになりますから,固定資産税も,その買主が払わなければならなかったということになります。単に,「形式的な所有者に請求する」という収税の手続き上,あなたが払っていたに過ぎないのです。
 ですから,あなたは,本来払うべき所有者に替わって固定資産税を払ってきたのですから,20年分の固定資産税として払った金額を,買主の不当利得として,返還請求できるのです(民法703条)。
 しかし,債権の消滅時効は10年ですから,あなたが現実に買主に請求できる金額としては,消滅時効に係っていない過去10年分に限られるだろう,ということです。
 もちろん,買主の人が消滅時効を援用(主張)せずに,,20年分払ってくれるのであれば,それをもらうのは当然の権利ですので,遠慮する必要はありません。
 




賃貸借契約
項目 相談例 回答 備考
保証人の責任  息子が就職して,アパート住まいをすることになり,親の私が連帯保証人になりました。息子の様子も普通で,たまには連絡がありましたし,家主さんからも何も連絡がないので,ちゃんと息子が家賃を払っているものとばかり思っていました。
 しかし,何年も経ってから,いきなり家主さんから連絡があり,息子がずっと家賃を支払っていなかったことが分かりました。未払い賃料は3年分で利息も含めると百万円を超えていました。
 私は子の未払い賃料を全部支払わなければならないのでしょうか?アパートの契約は1年契約でしたし,更新する際には私は契約し直していません。
 家主さんがもっと早く知らせてくれていたら,息子に払わせるなり解約するなりできたはずです。いきなり大金を請求するのは理不尽です。
 賃貸借契約の連帯保証人は,賃借人の契約上の債務を全て保証することになります。
 そして,賃貸借契約が更新を原則として更新拒絶が非常に例外的な法律上,保証人の責任は,更新後の賃貸借契約上の債務まで及ぶというのが判例の大勢のようです(東京地裁昭和56年7月28日等)。
 したがって,あなたと家主で「○年に限って保証する」など,更新後の債務を保証しないとの特約がない限り,原則としては,更新後の賃料等についても保証していることになり,あなたは責任を負っていることになります。

 しかし,どのような場合でも更新後の債務を永久に保証し続けなければならないとすれば不合理な結果になります。
 そこで,家主と保証人のバランスを図る意味では,一定の例外的な場合には,信義則当事者の合理的意思解釈から家主の保証人に対する賃料請求を制限したり(※1),極端な場合には保証人に解除権を認めて,保証人の地位からの離脱を認めるべきであり,そのような判例もあります。
 
※1
 保証人の責任を2回目の更新日までに限定した判例(東京地裁平成6年6月21日)

                                                             
婚約,離婚問題
項目 相談例 回答 備考
婚約

 付き合っていた彼女と結婚することになり,相互の親に報告をし,結納も済ませ,結婚式場の予約も入れました。しかし,式直前になって彼女が一方的に婚約を破棄したいと言いだし,それ以降私に会おうとすらしません。
 私も,こんな状態では結婚は出来ないと思い泣く泣く諦めましたが,振り回されたままでは我慢できません。婚約破棄の慰謝料は取れるのでしょうか?
 婚約破棄も,「正当な理由」がない場合には,慰謝料が発生します。その慰謝料の法的性質は,債務不履行とするのか,不法行為とするのかについては諸説ありますが,いずれにしろ慰謝料を請求できることにはかわりありません。
 問題の慰謝料の額ですが,「婚姻期間・交際の程度・婚約破棄の事情」によって決められるといわれていますが,離婚慰謝料よりは低くなります。
 相場としては,100万円程度ともいわれますが,はっきりしませんし,事情によって数十万円から数百万円以上と,あまり基準は無いようなものです。 
 
離婚  
夫の不倫が発覚し,私は実家に戻り別居中です。離婚の話し合いをしていますが,夫は聞く耳を持ちません。
 どうしても離婚をしたいと考えていますが,今後どのような手続をしたらいいでしょうか?
 
 
当事者で離婚の話し合いが付いた場合は,離婚届にお互い印鑑を押して居住地の役所に届け出をすれば足ります(協議離婚)。
 当事者間での話し合いで解決できない場合は,まず,相手の住所地を管轄する家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることになります。
 調停で話合いが付かなければ,離婚訴訟を起こすしかありません。あなたの住所地を管轄する家庭裁判所に提訴することになります。
 
 
不倫による離婚などで,慰謝料はどれくらい認められるのでしょうか?
 
 
 一応,裁判上認められている相場(平均額)は約300万円です。
 当然,離婚原因,婚姻期間,貴方の責任割合,相手の資力など色々な要素がありますが,額を考える際には300万円を基本にすると考えていいでしょう。
 不倫の場合,配偶者と不倫相手の共同不法行為となりますから,双方に請求することが出来ます。
 近年,慰謝料として認められる額は減少傾向にあるようです。
 
離婚までの別居中の生活費は貰えないのでしょうか?

 もらえます。「婚姻費用」と言います。婚姻費用分担の調停を起こしてください。調停でまとまらない場合は審判で裁判所が決定することになります。あまり高額にはなりませんが,貰えないよりはましです。
 
私の不倫が妻にばれました。妻は興信所に依頼していたみたいで,私の車に発信器が取り付けてあるのを発見しました。
 動かぬ証拠ととはいえ,こんな違法まがいの方法による証拠は裁判上通用するのでしょうか?
 
民事裁判上,提出する証拠に制限はありませんので,仮に違法な手段で手に入れた証拠であっても,証拠能力があり,裁判上通用します。これは家事裁判(人事訴訟)でも同様だと思います。
 ですから,奥さんが離婚を請求した場合には裁判上認められるでしょう。
 興信所への不法行為に基づく損害賠償請求プライバシー侵害慰謝料)は,証明は大変かも知れませんが,証明できれば認められる可能性は高いです。
 反面,そのような違法な調査を依頼した奥さんへの,不法行為による損害賠償請求は,理論的にも少し問題がありますし,理論的にオーケーでも,単なる調査ではなく「違法な調査」を依頼した証明は難しいかな?と思います。
親権  
離婚した場合,どちらが親権をとるかについては,母親が有利だと聞きましたが本当でしょうか?
 
親権の原則の一つに「母性優先の原則」というものがあります。これは,簡単に言えば,子供の育成においては,母親の果たす役割が大きいということから,母親の元で成育することが子供にとって望ましいという考え方です。この考え自体は否定できないところです。
 ですから,母親が有利か?」と聞かれると,特にまだ子供さんが小さい女の子の場合には「かなり有利です。」と答えざるを得ません。
 もちろん,親権決定は,母性優先のみに限られず,その他の諸要素を総合的に判断して,「この子の健全な生育のためには父方,母方のどちらで暮らした方がいいのか」を裁判所が第三者的に判断することになります。ですから,これまで父方ずっと暮らしており環境を変えることが望ましくない場合,父方でも祖父母が居て生育に問題がない場合,母親が自堕落,貧窮しており養育能力に欠ける場合など,父親が親権者となることも珍しくありません。
 
 
子供が二人いて,それぞれが一人ずつ引き取って親権者になるように話し合ったのですが,これは問題はないですか?
 
協議離婚の際,子供を一人ずつ引き取り,父母それぞれが一人ずつの親権者になること自体,法的には可能ですが,子供の育成上は大いに問題があると言わざるを得ません。子供には何の罪もないのに兄弟が引き離されるのですから。


刑事事件   
項目 相談例 回答 備考
 交通事故(業務上過失致死傷)  交通事故を起こして,相手の方が亡くなってしまいました。交通事故で死亡者がいる場合,実刑になってしまうと聞いたのですが,本当でしょうか?  
確かに,交通事故で死亡者がいる場合というのは,即実刑になってしまうという話も聞いたことがあります。
 特に,昨今の高速道路上のトラックによる死亡事故などによって,交通事故についての厳罰化の要請が高まり,危険運転致死傷罪が創設されたり,業務上過失致死傷自体の法定刑が重くなったりなどしている現在,死亡という事実は重く受け止める必要があります。
 しかし,交通事故では,結果(死亡,傷害,後遺障害)の程度は重要ですが,過失の程度も重視されるべきでしょう。つまり,ちょっとした不注意でも人の死亡という結果は発生する可能性がありますし,かなり悪質な運転などでも死亡に至らない場合がありますから,即実刑という結果は,私としては重すぎるのではないかという印象を持っています。
 実際の量刑としてはどうかということになると,同種前科や交通違反歴が多くない限り,「即実刑にはならない」と考えて良いのではないでしょうか?少なくとも私は経験したことはありません。ただし,前科で交通違反が多かったり,今回の事故の態様が悪質だったりした場合は,実刑(1年程度)は覚悟した方が良いのかも知れません。
ちなみに,私の担当した刑事弁護では,前に交通事故(死亡事故)を起こしており,執行猶予付有罪判決を受けていた人が,再度交通事故で死亡事故を起こしたという事例で,執行猶予となった経験があります。
 覚醒剤取締法違反事件
 覚醒剤使用で捕まった場合,量刑はどうなるんでしょうか?
 執行猶予はつくでしょうか?

 覚醒剤事件,特に自分で使用したという単純な事件の場合には,大体量刑の相場があるようです。
 初めて覚醒剤使用で起訴された場合,懲役1年6ヶ月執行猶予3年というのが通常です。そして,その執行猶予期間中に再度覚醒剤を使用して逮捕・起訴された場合,懲役1年の実刑判決となり,前の懲役1年6ヶ月と通算して2年6ヶ月刑務所に行くことになるでしょう。
 その刑期を終えて,社会復帰し,また覚醒剤を使用したような場合(前科がある場合)は,情状に応じて1年6ヶ月〜2年かそれ以上の実刑となると思います。
 なお,初めて裁判を受けたときの執行猶予期間経過後に再度覚醒剤を使用して起訴されたときにも,実刑であると覚悟した方が良いでしょう。前の裁判から10年等長期間間隔が空いていれば,再度執行猶予を受ける可能性はあります。
  偽  証  罪  
民事事件で,相手方の尋問を聞いていたのですが,全くのでたらめで,嘘ばかりついているので,頭に来ました。相手方を偽証罪で告訴することが出来るでしょうか?
 
 結論から先に言えば,偽証罪での立件は,限りなく不可能に近いと思います。偽証罪は,簡単に言えば「自分の記憶と違うことを言った場合」に犯罪が成立しますから,後で客観的証拠を突きつけながら,「事実と違うじゃないか!」と迫っても「勘違いをしていた。証言の時はときはそう信じていた。」と言われてしまえば,何も追求できなくなってしまいます。事実,裁判の証言では勘違いしていて質問に対して見当違いの証言をすることも多いのです(一般人は裁判所で証言をすることに緊張しますから。)。
 ですから,裁判後,「裁判で嘘の証言をしてやった。裁判官は信じやがったんだよ。ちょろいぜ。」などと言っているテープなどが出てこない限り,有罪には出来ないと思います。あなたのお怒りはもっともであり,私も「嘘を言って得する」のは我慢がなりませんが,制度上限界があると言うことです。
ただ,例外もたまにはありますので,どうしても許せない方は何とかして証拠を見つけてください。
                    

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