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since:2005/9/22
(逮捕・勾留)
あなたが犯罪を犯して逮捕された場合,まず警察署の留置場に収容されて,警察や検察官の取り調べが始まります。
逮捕されてからは,大まかに言って2日以内に裁判所に連れて行かれ,そこで裁判官からの審問があり(勾留質問),被疑事実に間違いがないか聞かれた後,その場で裁判官から「勾留」決定がされます(「あなたを10日間勾留します。」etc)。勾留期間は基本的には10日間ですが,延長されることが常で,実質20日です。勾留場所はまた警察署です(代用監獄と言って,法的に問題があります。)。
なお,現在は,各弁護士会で,「当番弁護士制度」というものをやっています。
これは,1回だけは弁護士が無料で接見(面会)してくれるというもので,あなたが警察署や裁判所などで「当番弁護を希望する」と言えば,弁護士会に連絡が行き,原則24時間以内に弁護士が接見に来ます。
あなたのご家族も当番弁護士の派遣を依頼することが出来ます。もちろん無料です。
熊本県弁護士会の場合,「090−3661−3133」に電話してください。24時間受付です。
また,後述の起訴後であれば国選弁護人が付くことになりますが,起訴前であっても,現在は被疑者国選弁護人制度が開始されていますので,被疑者弁護人を依頼することも出来ます。
その後も取り調べ,現場引当てなどの捜査があり,起訴するかどうかを勾留期間満了までに検察官が決定します。
示談を済ませていれば起訴猶予になることもあります。
また,罰金刑がある犯罪(傷害罪など)は略式命令という簡単な裁判を受ける場合もあり,その場合は実際に裁判所に出頭することなく,罰金だけ納めればOKです。
注意が必要なのが,取調中作成されるあなたの「供述調書」です。
これは,主に,あなたが犯した事件の内容について,警察や検察官が聞き取りをして作成される書面,主にあなたの一人称形式で今回の事件について説明している文書です。
調書の最後にあなたの署名と拇印を押すように指示されます。
これは,調書の内容が全て間違いないことをあなたが認めた証明となるものです。
もちろん,調書の内容に納得できない場合は署名と拇印を拒否できます。
あなたの供述調書は,あなたが有罪であることを証明するための証拠ですから,とにかく捜査側に有利に書かれます。
そのために取調中はとにかく誘導されます。
「○○だったんだから,××のはずだ。」
「そうでないとおかしい」
「普通はそう考えるだろ?」
「そんなのは言い訳だ」
「そんなことは誰も信用しないぞ」
などと,誘導,誘導,誘導です。
事実と違うことは「違う」とはっきり主張し,誘導には絶対に乗らないこと。
「△△だろうと□□だろうと同じじゃないか」と言われても,曲げてはだめです。
文面のニュアンスの違いに過ぎないと軽く考えていて,あとから「そんなつもりで言ったんじゃない!!」と抗議しても,たぶん誰も聞いてくれません。
だって,調書にサインしているんですもの。
(起訴後)
勾留期間満了までに釈放されず,起訴された場合,正式裁判が始まることになり,「被告人」と呼ばれることになります。
弁護士に依頼して私選弁護人を付けることも出来ますが,ある程度の出費は覚悟しなければなりません(弁護士によりますが,着手金だけで20万円以上はかかります。)。
お金がない場合,国が弁護人を付けてくれます(国選弁護人)。
起訴時にはあなたは警察の留置所にいることになりますが,起訴されると起訴状と共に,弁護人選任についての照会書が届きます。
その照会書に,「私選弁護人がいる」「弁護人は要らない」「国選弁護人を希望する」など項目があり,どれかにチェックをして裁判所に送り返します。
「国選弁護人を希望する」と回答した場合,裁判所書記官は,弁護士会の国選弁護人名簿から無作為に一人選び,弁護士事務所に電話で「国選弁護を依頼したい。氏名は○○,罪名は□□,第1回公判期日は△△日ですが。どうですか?」と依頼してきます。
弁護士が承諾すると,後日起訴状と弁護人選任命令が送付されてきます。
第1回公判期日は,起訴の2ヶ月後くらいになることが通常だと思います。
(なお,現在は国選弁護人の弁護士への割り振りは「法テラス」が行っています。上記の書記官の業務は現在は法テラス職員が行っています。内容はさして変わってはいません。被疑者国選弁護人が選任されている場合は同じ弁護士が引き続き,起訴後の国選弁護人にもなるのが通常です。)
その後,弁護人はあなたと接見(面会のこと)をすることになりますが,捜査記録の開示はずっと後になりますので,事件の詳しい内容については分かりませんから,顔見せと,あなたが分からないことに答えたり,あなたのご家族・知人などの連絡先を聞くぐらいで,最初の接見は終わるでしょう。
検察庁から裁判で提出予定の捜査記録の開示を受け,事件の全体像を把握した弁護人は,あなたと打ち合わせて弁護方針を決めます。
提出される予定の捜査記録の気になる点をあなたに聞き,特にあなたの供述調書で事実と違うことを書かれたりなどがあったかを確認します。
ここでは,あなたが犯罪を犯した前提ですから,被害弁償や示談,情状証人の相談が主になるでしょう。
被害者の連絡先や被害の内容などは捜査記録から分かっていますから,弁償のお金を誰から出して貰えるのかが一番重要ですね。
それと情状証人です。
情状証人とは,あなたが社会復帰した後に,監督してくれる人や雇ってくれる人などのことで,裁判に出廷して監督や雇用を保証する証言をして貰うのです。
裁判が近づくと警察の留置所から拘置所に収容先が変わり,裁判を待つことになります。警察の留置所とは比べものにならないほど拘置所の生活や規律は厳しいらしいです。
争いがない事件で,追起訴もない場合,裁判は1回,約1時間で終了し,その2週間後に判決が下されます。
判決で執行猶予となった場合,その日に釈放されます。
有罪判決に不服がある場合は2週間以内に控訴しなければなりません。
実刑判決(刑務所に行かなければならない)の場合,控訴期間である2週間はそれまでいた拘置所に収容され,控訴をせずに刑が確定した場合,刑務所に収容されることになります。
どこの刑務所になるのかは弁護人も知らずに終わります。
たぶん判決を下した裁判官も知らないのではないでしょうか?(これは推測)
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ここでは,あなたが犯罪を犯して逮捕されてからの流れについて大まかに書いています。内容の正確さについては必ずしも保証の限りではありません。
「大体こんなもんだ」ということで気軽に読んでください。
なお,無実(えん罪)の場合も,手続的には同様です。
刑事事件の流れ